ラーメン屋さん と お医者さん
いつだったでしょうか、ラーメン作りに情熱を懸けた男たちを追ったテレビ番組がありました。
いかに旨いスープを作るか、そしてそのスープと相性の良い麺はどれなのか。
男たちは試行錯誤を繰り返し、納得のいく一品を創り上げていきます。
それと同時に、あるラーメンチェーン店では、従業員に接客の訓練をします。
はきはきと挨拶をし、きびきびと行動する従業員の様は目を見張るものがあります。
従業員も皆、必死です。
それもそのはず、新しく出店となる場合、上層部に認められた人間が店長候補になるのです。
ある時期、各店の店長たちは丘の別荘のようなところに集まり交流をします。
そこにやってくるときは、
ベンツやBMWのような高級車が隊列をつくり一斉に丘を登って来るのです。
集まった彼らの自信に満ちた表情からは、人生の勝ち組としてのプライドが伝わってきます。
また、その店長達のリーダーの自宅が映りました。
庭にはガラス張りの車庫があり、その中にはフェラーリのような高級車が入っていました。
従業員たちに、
“俺もいつかはこのような車を手に入れるんだ。”
と思わせるためにわざと見せているとのことでした。
実際、ある若い従業員は、この車を見るとやる気が出るとインタビューに答えるのです。
別の番組だったでしょうか、ファミレスのチェーン店に密着していました。
複数あるチェーン店をいかに効率良く運営するかが興味深く紹介されます。
同じチェーン店でも場所により客層も変わり、それによって売れるメニューも変わります。
中央管理システムを採用し、
全ての店の在庫をコンピュータ管理することで即座に過不足の品を店同士で融通しあうようにします。
おかげで、無駄な在庫を極力少なくすることに成功しました。
また、どの店で何が注文されたかもリアルタイムでわかるようになっており、さながら証券場で株式市場のデータを見ている感じでした。
そして、売れ残りそうな商品があると、
すかさずその店に“おすすめ”として客に出すように と中央から指令が出されます。
その結果、その商品のオーダーが伸び、売れ残りが出ずに済んだようでした。
人はみな野心を持っています。
野心は活動のエネルギーとなります。
法に背いたり他人に迷惑をかけない限りは大いに野心を持つべきでしょう。
ただ、職業が医者となると話はちょっと違います。
フェラーリが欲しいために医者をするなどは受け入れ難いことです。
収入を上げるために患者さんに“おすすめ”の検査をするのは罪でしょう。
(ちなみに、院外処方が主流の今は、“おすすめ”の薬をいくら処方しても医者の収入は全く増えません。)
ラーメン屋さんもファミレスの経営者も皆立派です。
でも、自分はお医者さんで良かったなと思います。
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