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しゃっくりがとまらない

超低出生体重児 (出生体重1000g未満) や極出生体重児 (出生体重1500g未満) などの赤ちゃんは、

  

肺が未熟で呼吸も弱く、人工呼吸器を使うことが少なくありません。

  

そして、人工呼吸器管理をしている途中に、

  

赤ちゃんが しゃっくりをし始めることが何度かありました。

  

  

  

低出生体重児は全ての臓器が未熟です。

  

また、頭蓋内出血のリスクも高いのです。

  

いろいろな合併症が起きないようするには、

  

新生児の循環を安定した状態に保っておくことが非常に大切です。

  

そんなとき、赤ちゃんがしゃっくりをし始めるのです。

  

よりによって、それがなかなかおさまらないのです。

  

当時の私は、

  

”血圧が変動してその影響で頭に出血しないだろうか。” 

  

”臓器の酸素化がちゃんとされるのだろうか。” 

  

                              など、心配でたまりませんでした。

  

  

  

しゃっくりは、横隔膜が痙攣性の攣縮を反復することにより起きますが、

  

これは新生児にも生じます。

  

というよりむしろ、しゃっくりは赤ちゃんに多いと言われています。

  

赤ちゃんがママのお腹の中にいるときもしゃっくり様の動きをすることもあり、

  

産科で腹部超音波検査をしているとき、

  

産科医から、”いま、あかちゃんがしゃっくりをしているよ。”

  

と言われたことがあるママもいると思います。

  

  

  

何故、お腹の中でしゃっくりをするのかというと、合目論的な立場からすれば、

  

生まれてすぐに横隔膜を使って肺呼吸をするので、その練習だ  とか、

  

のどの奥に付いた胎便を取り除くため横隔膜を攣縮させて水流を作る

  

                                   といった仮説があります。

  

そして、生まれてくるとしゃっくりの必要がなくなり、その頻度がだんだんと低くなってくるというのです。

  

これは、もちろん意識的に行うものではなく、ひとつの原始反射であると考えられます。

  

だんだん、成長するに伴い、その反射の抑制回路が発達し、しゃっくりが少なくなると推測されます。

  

  

では、しゃっくりを止めるにはどうしたらよいでしょうか。

  

一般的には、息止めをしたり、鼻を摘んで冷水を飲んだらいいなどとも言われていますが、

  

この方法を赤ちゃんに使うことは出来ません。

  

  

  

ある日、

しゃっくりを止めるには軟口蓋を刺激するという良いということを何かの話で聞きました。

  

今度新生児でしゃっくりをみたら、この方法を使ってみようと心に決めていました。

  

  

そして、とうとうそのときが来ました。

  

正常出生児の退院前診察をしていたとき、ひとりの赤ちゃんがしゃっくりをしていたのです。

  

今がチャンスとばかり、ゴム手袋をして、私の指をその赤ちゃんの口の奥に入れました。

  

こちょこちょと軟口蓋をこすってみると ・ ・ ・

  

赤ちゃんの動きが一瞬止まり、その後

  

ゲポッ

  

飲んだばかりであったろうミルクを吐いてしまいました。

  

  

吐いた後、しゃっくりは治ったかというと ・ ・ ・

  

  

数秒してからまた再開しました。

  

  

  

この場を借りてその赤ちゃんにお詫びしたいです。

  

”覚えてないと思うけど、ごめんね。”

  

  

  

  

  

  

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